猫が下痢をしたとき(フードを替えたあとも)
1〜2日でおさまる下痢もありますが、重い病気のサインのこともあります。血や黒い便が出た、元気がない、吐く、食べないときは、早めに動物病院へ行きましょう。
- 急なフードの切り替えで、数日下痢をすることがあるとされています[1]。
- 下痢がひどい、ほかにも具合が悪そう、数日続くときは受診を[2]。
- 黒くてタールのような便、ぐったりしている、吐く、食べないときは、早めに動物病院へ[2][1]。
- 回数や便の様子、血や粘液の有無を記録しておくと、原因をしぼる助けになります[2]。
猫が下痢をする主な理由
下痢は、便がやわらかい、または水のような状態です[2]。便が腸を速く通りすぎて、水分などが吸収されきらないと起こります[2]。
下痢は病気そのものではなく、病気やほかの問題のサインとされています[2]。多くは短くおさまりますが、命に関わる病気のあらわれのこともあります[1]。
トイレを使わない猫では気づきにくいものです。体重が減る、しっぽの下の毛に便がつく、粗相をするといったことが手がかりになります[2]。
主な理由として、次のようなものが挙げられています。
- 急なフードの切り替え:急に替えると、数日下痢をすることがあります[1]。食べ慣れないフードで、吐いたり下痢をしたりすることもあります[3]。
- 人の食べ物:タマネギ・ネギ類やチョコレートで、下痢や嘔吐が起きることがあるとされます[4]。コーヒーやお茶など、カフェインを含む飲み物も同じです[4]。
- 牛乳:乳糖(牛乳に含まれる糖)をうまく消化できない猫が多いとされます[5][6]。乳製品で胃腸の不調が出ることがあり、おやつとしては勧められていません[5]。
- 寄生虫:お腹の寄生虫は、猫によく見られます[7]。下痢や、粘液・血のまじった便が出ることがあります[7]。
- 感染:ウイルスや細菌などによる下痢は、特に若い猫や、外に出る猫に多いとされます[8]。
- ストレス:長い車の移動や、動物病院へのお泊まりなどで、短いあいだ便がゆるくなることがあります[1]。
- 病気:成猫では、腸の炎症や感染、腫瘍が多いとされます[1]。長く続く・くり返す下痢は、腸の外の病気のこともあります[1]。甲状腺や腎臓・肝臓の病気、リンパ腫(血液のがんの一種)などです[1]。
フードを替えたあとの下痢で考えること
フードを替えてから下痢が始まったら、まず切り替えの速さをふり返りましょう。急な切り替えで、数日下痢をすることがあるとされます[1]。
国際的な猫の団体は、吐いたり下痢をしたりしないよう、少しずつ替えるのがよいとしています[9]。最初は新旧を別の器に並べ、新しいフード25%くらいから始める方法が紹介されています[9]。
切り替えにかける期間の目安は、資料によって違います。
- 米国の獣医師の団体:7〜10日かけて少しずつ[10]。別のガイドラインは、4〜7日かけると胃腸の不調が起きにくくなる可能性がある、としています[11]。
- 環境省:ようすを見ながら1〜2週間かけて[3]
- 国際的な猫の団体:5〜7日で慣れる猫もいれば、2〜8週間かかる猫もいる[9]
期間に決まりはなく、猫のペースに合わせます[9]。体調が悪いときは、フードを替えないのが基本とされています[12]。切り替えの途中で下痢をしたら、そのまま進めず、どうするか獣医師に相談しましょう。下痢の理由はフードだけとは限りません。次の「すぐ受診したいサイン」も確かめてください。
すぐ受診したいサイン
環境省は、便のにおいや色、回数や量を、日ごろから見ておくよう勧めています[13]。少しでも異変を感じたら、早めに獣医師に診てもらうよう呼びかけています[13]。
子猫は、固いフードに慣れていく時期で、下痢をしやすいとされます[1]。回虫やコクシジウム(小さな寄生虫)も、子猫で問題になりやすいとされます[7]。猫汎白血球減少症は、パルボウイルスによる感染症です[8]。ワクチンを打っていない子猫では、命に関わることが多いとされます[8]。急にぐったりして、すぐに脱水になると説明されています[8]。下痢は出ないことも、あとから出ることもあるとされます[8]。
高齢の猫は、腎臓病や糖尿病など、体の水分が少しずつ失われる病気が多くなります[14]。そのため、水分の状態がとても大切とされています[14]。甲状腺機能亢進症(甲状腺のはたらきが強くなりすぎる病気)は、中年以降の猫に多い病気です[15]。この病気でも、下痢をすることがあります[15]。
コーネル大学は、症状に気づいたらできるだけ早く、獣医師に診てもらうことが大切だとしています[1]。次のようなときは、特に受診が勧められています[2][1]。
- 下痢がひどい[2]
- 数日たってもおさまらない[2]
- 1〜2日より長く続き、食欲がない、元気がない、吐くなどのようすもある[1]
- ふだんどおりに食べない[2]。猫は3日以上食欲がないと、健康に影響が出る危険があるとされます[13]。
- 便に血がまじる。量が多くなければ救急ではないとされますが、診てもらいましょう[2]。
- 黒くてタールのような便。腸の上のほうで出血しているサインのことがあります[2]。
- 脱水のサインがある(下の「家で気をつけたいこと」を参照)[16]
黒くてタールのような便が出たら、動物病院に連絡しましょう[2]。下痢に加えて、ぐったりしている、吐く、食べないときも、できるだけ早く受診を[1]。子猫や高齢の猫は、特に急いでください。夜間や休日でも、まず電話で相談しましょう。
受診のときに伝えるとよいこと
獣医師は、飼い主からくわしく話を聞き、体を診てから、必要な検査を決めるとされます[2]。
下痢の様子や回数、いきんでいるか、血や粘液がまじるかは、原因をしぼる助けになるとされています[2]。米国のガイドラインも、獣医師が下痢や嘔吐の有無と回数をくわしく聞くよう勧めています[10]。
便の状態を点数で表す動物病院もあります。同じ方法でつけ続けると、飼い主とのやりとりがそろい、変化を追いやすいとされます[11]。
- いつから始まったか、1日に何回か[2]
- 便の様子:やわらかさ(形があるか、水のようか)、色、量、におい[2][13]
- いきんでいるか、血や粘液(ゼリーのようなもの)がまじるか[2]
- 便の写真。写真や動画、メモで記録しておくと、変化を伝える土台になるとされています[10]。
- 元気、食欲、吐いたかどうか[1]
- 食べたもの:フードを替えたか、いつ替えたか、おやつや人の食べ物、口にしたかもしれないもの
- 飲んでいる薬やサプリメント
フードのあとに具合が悪くなったら、できれば製品を持っていきましょう[17]。与えたときの様子も伝えるよう勧められています[17]。便の検査をすることもあります[2]。寄生虫の一種のジアルジアなどは便に毎回出るとは限らず、何回か調べることもあるとされます[7]。便を持っていくかどうかは、電話のときに聞いておくと安心です。
家で気をつけたいこと(薬・食事・水分)
人の下痢止めなど、市販の薬を自己判断で飲ませるのはやめましょう。猫に害になるものがあるとされます[1]。
食事を自己判断で抜くのも避けましょう。猫は、短いあいだ食べないだけでも、肝臓の病気になることがあるとされます[18]。食事をどうするかは、獣医師に相談しましょう。
下痢がひどいと、脱水(体の水分が足りなくなること)になることがあります[2]。下痢は、猫の脱水のよくある原因の1つとされています[16]。脱水のサインとして、次のようなものが挙げられています[16]。
- 元気がない、弱っている[16]
- 食欲がない[16]
- 歯ぐきが乾いている、ねばつく[16]
- 肩のあたりの皮膚をそっとつまんで離すと、戻るのが遅い[16]。ただし高齢の猫は、水分が足りていても戻りが遅いことがあります[16]。
- 重いときは、目が落ちくぼむ[16]
脱水が心配なときは、早めに獣医師に連絡しましょう[16]。新鮮な水を、家の何か所かに置いておくとよいとされます[18]。獣医師から、水ではなく電解質(体に必要な塩分など)を含む液をすすめられることもあります[2]。
今日からできること
- トイレ掃除のときに、便の形・色・量・回数を見る習慣をつける[13]。
- 下痢をしたら、日時・回数・様子をメモし、便の写真を撮る[2][10]。
- フードを替えるときは、新旧を別の器で並べ、時間をかけて少しずつ替える[9][3]。
- 替えたフードのパッケージは、すぐに捨てずにとっておく[17]。
- 牛乳や、タマネギ・チョコレートなどの人の食べ物をあげない[5][4]。
- 便は毎日片づける。寄生虫対策の基本とされています[7]。
- 子猫を迎えたら、ワクチンと寄生虫の検査について獣医師に相談する。
- かかりつけの獣医師を決め、夜間に相談できる病院も調べておく[13]。
このページは一般的な情報です。病気の診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときや、持病のある猫のごはんは、獣医師に相談してください。
出典
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Diarrhea」 www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Diarrhoea in cats」(2025) icatcare.org/articles/diarrhoea-in-cats
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(2.市販のペットフードについて)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(1.最初に知っておきたいこと)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Feeding Your Cat」(2026) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- WSAVA(世界小動物獣医師会)Global Nutrition Committee「Feeding treats to your cat」(2025) wsava.org/wp-content/uploads/2025/11/WSAVA_GuidetoTreats_Cat
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Gastrointestinal Parasites of Cats」(2018) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- Cook AK(テキサスA&M大学), Top Companion Anim Med 23(4):169-176「Feline Infectious Diarrhea」(2008) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7104990/
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「How to change your cat’s food to a new diet」(2025) icatcare.org/articles/how-to-change-your-cats-food-to-a-new-
- AAHA(米国動物病院協会)/ AAFP(米国猫臨床医協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(2):51-72「2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/feline-life-stage-20
- AAHA(米国動物病院協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(3):153-174「2021 AAHA Nutrition and Weight Management Guidelines for Dogs and Cats」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/2021-nutrition-and-w
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Feline idiopathic cystitis (FIC) in cats」(2025) icatcare.org/articles/feline-idiopathic-cystitis-fic-in-cats
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(4.体調管理について)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- AAFP(米国猫臨床医協会)、J Feline Med Surg 23(7):613-638「2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines」(2021) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10812122/
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Hyperthyroidism in Cats」(2026) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Hydration」(2021) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(5.Q&A)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Inappetence in cats」(2025) icatcare.org/articles/inappetence-in-cats
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