猫が吐くとき(毛玉・早食い・すぐ受診すべきサイン)
ときどき吐いても元気な猫はいます。でも、何度も吐く・血がまじる・元気がないときは、早めに動物病院へ行きましょう。
- 健康な猫でも、ときどき吐くことはあるとされています[1][2]。
- 週に1回より多く吐く、血がまじる、元気や食欲がないときは、早めに受診を[1]。
- 吐こうとしても何も出ない、異物を飲んだかもしれないときは、すぐ動物病院へ[3][4]。
- よく吐くのを「この子には普通」と思いこまないよう、専門家は呼びかけています[5][6]。
猫が吐く主な理由
どんなに健康な猫でも、ときどきは吐くものだとコーネル大学(米国)は説明しています[1]。
原因がわからないまま、ときどき吐く健康な猫も多いとされます[2]。主な理由として、次のようなものが挙げられています。
- 毛玉:消化されなかった毛のかたまりです[1]。1〜2週に1回ほど吐くのは珍しくない、とされています[1]。
- 早食い:食べるのが速すぎるだけで吐くこともあります[2]。食べすぎで吐き戻していた猫の症例も報告されています[7]。
- 一気に食べる習慣:急いで食べては吐く習慣がつく猫もいるとされます[8]。ほかの猫や小さな子どもとの、いやな場面を避けるためと考えられています[8]。
- 急なフードの切り替え:食べ慣れないフードに急に替えると、吐いたり下痢をしたりすることがあります[9]。
- 異物や中毒:ひも、毛糸、輪ゴム、クリップなどの異物が挙げられています[1]。毒になる植物、傷んだフード、人の薬も原因になります[1]。チョコレートやタマネギなど、人の食べ物も同じです[1]。
- 病気:寄生虫、便秘や炎症性腸疾患(腸に慢性の炎症が起きる病気)、腫瘍などです[1]。糖尿病、腎臓病、甲状腺機能亢進症(甲状腺のはたらきが強くなりすぎる病気)でも吐くことがあります[1]。
すぐ受診すべきサイン
環境省は、日ごろ観察したい体の変化に「嘔吐をくり返す」を挙げています[4]。少しでも異変を感じたら、早めに獣医師に診てもらうよう勧めています[4]。
年齢も手がかりになるとされます[10]。若い猫は、異物を飲みこむことが多いとされます[10]。高齢の猫は、甲状腺の病気や、消化管・肝臓の腫瘍が多いとされます[10]。子猫や高齢の猫が吐くときは、早めに相談しましょう。
次のようなときは、早めに診てもらうよう勧められています[1][3]。
- 週に1回より多く吐く[1]
- 吐いたものに血がまじる[1]
- ぐったりしている、弱っている[1]
- 食欲が落ちた、1〜2日以上食べない[1][3]
- 水を飲む量やおしっこの量が変わった、下痢もしている[1]
- 吐こうとしても何も出ない、吐くことをくり返す[3]
- ひもや糸、輪ゴムなどを飲みこんだかもしれない[1][4]
- ユリなど毒になる植物、人の薬や食べ物を口にしたかもしれない[1][4]
吐こうとしても何も出ない、何度も吐く、ぐったりしているときは、すぐ動物病院へ[3]。毛玉ではなく、ほかのお腹の病気や呼吸の病気で、急ぎの治療が必要なこともあります[3]。ひも状のものは、腸にからまると重大な事故になるとされています[4]。夜間や休日でも、まず電話で相談しましょう。
「吐き戻し」と「嘔吐」の違い
食べたものが口から出てくるのには、大きく2つあります[2]。
- 嘔吐(おうと):胃や腸の入り口あたりの中身を出すことです[2]。お腹に力を入れ、えずくようにして吐きます[2]。食べ物は半分ほど消化され、黄色い液(胆汁)がまじることもあります[2]。
- 吐き戻し(吐出:としゅつ):食道(のどと胃をつなぐ管)の中身が出ることです[2]。頭を下げて、力まずにするっと出てきます[2]。食べ物はほとんど消化されておらず、筒の形でぬるっとした粘液に包まれていることがあります[2]。
- 時間:吐き戻しは食べてすぐのことが多いものの、いつもではありません[2]。嘔吐は食後しばらくしてから、または食べていないときにも起こります[2]。
ただし猫では、犬ほど区別がはっきりしない、とする専門家の総説があります[10]。食道の病気の猫が「吐いている」と伝えられることも多いとされます[10]。どちらか家で決めなくても大丈夫です。見たままを獣医師に伝えましょう[2]。
「猫はよく吐くもの」と思いこまない
吐くことや、毛玉を吐くことを「この子には普通」と考える飼い主もいます[5]。そのため、吐く回数を獣医師がくわしく聞くよう、米国のガイドラインは勧めています[5]。
毛玉を1〜2週に1回ほど吐くのは珍しくない、とコーネル大学は説明しています[1]。一方、短毛の猫の多くで毛玉をよく出すのは、慢性の病気のサインだとする総説もあります[11]。見方が分かれるので、回数が増えたら相談しましょう。
米国の猫の病院が、くり返す嘔吐や下痢、体重の減少がある猫100頭を調べた報告があります[6]。どの猫も、超音波検査(エコー)で腸の壁が厚くなっていました[6]。99頭で腸の病気が見つかり、主なものは慢性の腸炎と、腸のリンパ腫(血液のがんの一種)でした[6]。
著者は、くり返す嘔吐や体重の減少を「普通のこと」と考えず、見過ごさないよう呼びかけています[6]。
この報告は、エコーで異常があった猫だけを集めたものです[6]。よく吐く猫の多くが同じ病気だ、という意味ではありません。
家で記録しておくとよいこと
吐く原因を探すのは、飼い主からくわしく話を聞くことから始まるとされています[1]。
獣医師は、吐いたものの見た目や、吐くときのようす、食事との時間の関係をたずねることがあります[2]。飲んでいる薬の情報も大切です[2]。
日記や写真、動画で記録しておくと、体調の変化を伝える土台になるとされています[5]。
- いつ吐いたか(日時)と、1日の回数[5]
- 食べてから、どのくらいたって吐いたか[2]
- 吐いたものの見た目(フード、毛玉、黄色い液、血など)。写真に撮っておく[2][5]
- 吐くときのようす(お腹に力を入れていたか、するっと出たか)[2]
- 元気、食欲、飲む水の量、おしっこ、便のようす[1]
- 最近替えたフードやおやつ、口にしたかもしれない物、飲んでいる薬[2][9]
今日からできること
- 吐いた日と回数、ようすをメモする。吐いたものはスマホで写真に撮る[5]。
- ひも、糸、輪ゴム、小さなおもちゃなど、飲みこめる物を出しっぱなしにしない[1][4]。
- ユリなど毒になる植物を部屋に置かない[4]。人の薬や食べ物は、猫の届かない場所にしまう[1]。
- 人の薬は、それ自体が吐く原因になることがあります[1]。自己判断で飲ませない。
- フードを替えるときは、1〜2週間かけて少しずつ[9]。
- 早食いの猫は、1日分を小分けにして回数を増やす。パズルフィーダー(転がすと少しずつフードが出る器)も使える[7][8]。
- 多頭飼いなら、ほかの猫と離れた落ち着ける場所で食べさせる[8]。
- 毛玉が気になるなら、毎日のブラッシングを[3]。くわしくは「毛玉とブラッシング」にあります。
このページは一般的な情報です。病気の診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときや、持病のある猫のごはんは、獣医師に相談してください。
出典
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Vomiting」(2021) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- ワシントン州立大学 獣医学部 動物病院(WSU Veterinary Teaching Hospital)「Vomiting pets」(2021) hospital.vetmed.wsu.edu/2021/12/15/vomiting-pets/
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「The Danger of Hairballs」 www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(4.体調管理について)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- AAHA(米国動物病院協会)/ AAFP(米国猫臨床医協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(2):51-72「2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/feline-life-stage-20
- Norsworthy GD ほか(Alamo Feline Health Center、米国), J Am Vet Med Assoc 243(10):1455-61「Diagnosis of chronic small bowel disease in cats: 100 cases (2008-2012)」(2013) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24171376/
- Dantas LM ほか(ジョージア大学・オハイオ州立大学ほか), J Feline Med Surg 18(9):723-32「Food puzzles for cats: Feeding for physical and emotional wellbeing」(2016) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11148901/
- AAFP(米国猫臨床医協会)コンセンサス声明(Sadek T ほか), J Feline Med Surg 20(11):1049-1055「Feline Feeding Programs: Addressing behavioral needs to improve feline health and wellbeing」(2018) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11343346/
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(2.市販のペットフードについて)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- Batchelor DJ ほか(European Emesis Council), J Feline Med Surg 15(4):237-65「Mechanisms, causes, investigation and management of vomiting disorders in cats: a literature review」(2013) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10816764/
- Cannon M(Oxford Cat Clinic), J Feline Med Surg 15(1):21-9「Hair balls in cats: a normal nuisance or a sign that something is wrong?」(2013) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23254238/
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(5.Q&A)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
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