体重の量り方と、気にしたい変化
体型の小さな変化は、毎日見ていても気づきにくいものです。家で体重を量って記録しておくと、変化に早く気づく手がかりになります。
- 体重は、週1回くらい量るのがおすすめとされています[1]。
- 抱っこして人の体重を引く方法は手軽ですが、小さな変化を見のがすことがあります。ベビースケールのほうが正確とされます[2]。
- 腎臓病の猫では、診断の3年前から体重が減り始めていたという報告があります[3]。理由のわからない変化は、早めに相談を[4]。
- 急にやせるのは危険です。ほぼ食べない状態が続くと、肝リピドーシス(肝臓に脂肪がたまる病気)になることがあります[5]。
家での量り方と頻度
体型の小さな変化は、見た目ではなかなか気づけません[1]。そのため、日ごろから体重を量っておくことが大切とされています[1]。
毎日見ている猫だと、やせたのにも、太り始めたのにも気づきにくいとされます[6]。
- 抱っこして量る:猫を抱いて体重計に乗り、自分の体重を引きます[1]。家にある体重計でできる方法です。
- ただし、この方法は不正確で、小さな変化を見のがすことがある、とする団体もあります[2]。
- ベビースケール(赤ちゃん用の体重計):電子式のものが手に入りやすく、より正確に量れるとされます[2]。猫用の体重計を使う方法も紹介されています[7]。
- コーネル大学の獣医師も、太りぎみの猫の体重を家で見守るため、ベビースケールを勧めています[8]。
- 頻度:週1回くらいがおすすめとされています[1]。食欲が落ちている猫は、獣医師に言われた頻度で量ります。たいていは毎週です[2]。
- 季節や運動量で、必要なエネルギーは変わります[1]。定期的に量って、食事の量を見直すよう勧められています[1]。
じっと乗らない猫は、キャリーごと量って、空のキャリーの重さを引く方法もあります。比べやすいように、同じ体重計で、同じ時間帯に量りましょう。
記録のつけ方
体重と体型、筋肉のつき方を記録し続けると、変化に早く気づき、流れがつかめるとされています[9]。
上からと横から写真を撮っておくと、飼い主が小さな変化に気づく助けになるとされます[9]。
- 日付と体重(グラムまで)
- 量った方法(抱っこ、ベビースケールなど)
- 体型と筋肉の様子(下の「体型と筋肉も見る」を参照)
- 食べた量、フードやおやつを変えたか
- 上からと横からの写真。同じ場所、同じ向きで撮る[9]
- 気になったこと(水をよく飲む、吐いた、便がゆるいなど)
気にしたい体重の変化
「何%減ったら受診」という決まった数字は、今回確かめた獣医の団体の資料には見当たりませんでした。
ただ、前回から理由なく体重が変わったら、くわしく調べるよう勧められています[4]。シニアの猫のガイドラインも同じ考えです[11]。説明のつかない体重・体型・筋肉の変化は、病気として調べるべきだとしています[11]。
米国の動物病院6施設の、腎臓病の猫569匹の記録があります[3]。診断までの1年で、体重が中央値で8.9%減っていました[3]。減り始めたのは、診断の3年前でした[3]。4kgの猫なら、8.9%は約360gです。
年をとると、太るよりもやせるほうがよく見られるようになるとされます[11]。やせすぎは、シニアの猫によくある問題とされています[9]。
次のような変化は、気にしておきたいサインです。
- 理由がわからないまま、体重が減ってきた[4][11]
- よく食べるのにやせてきた、水をよく飲む[12]。甲状腺機能亢進症(甲状腺のはたらきが強くなりすぎる病気)で、よく見られるサインです[12]。
- 食べる量が減って、体重も減っている[2]
- 増えた側の目安:理想体重より10〜19%重いと「太りぎみ」とされます[6]。20%以上重いと、一般に肥満とされます[8]。
こうした変化に気づいたら、量の多い少ないにかかわらず、早めに獣医師に相談しましょう。理想体重は年齢や種類で違うため、体型の点数(BCS)とあわせて見るとされています[6]。理想体重は、獣医師に診てもらって決めるのがおすすめです[1]。
体重だけでなく、体型と筋肉も見る
BCS(体型の点数)は、見た目と触った感じで、脂肪のつき具合を5段階か9段階で評価するものです[1]。
MCS(筋肉の点数)は、背骨、肩甲骨、頭、腰の骨のまわりの筋肉を、見て触って確かめます[13]。筋肉の減り方は、正常・軽い・中くらい・重いの4つに分けます[13]。
筋肉は、まず背骨の両側から落ちていくことが多いとされます[13]。太っていても、筋肉が大きく落ちていることがあります[13]。そのため、BCSとMCSは別々に見るよう勧められています[4]。
家では、次のところを見て触ってみましょう。
- 肋骨:なでると、薄い脂肪ごしに触れるか(理想の体型)[14]
- 腰のくびれ:上から見て、肋骨の後ろが少しくびれているか[14][1]
- お腹:横から見て、お腹が吊り上がっているか[1]
- 背中の筋肉:背骨の両側の筋肉が、前より薄くなっていないか[13]
飼い主がつけた点数は、獣医師にも確かめてもらうよう勧められています[4]。BCSのくわしい見方は「体型の見分け方」にあります。
急にやせるのは危険(肝リピドーシス)
肝リピドーシスは、肝臓の細胞に脂肪がたまり、肝臓がはたらけなくなる病気です[5]。すぐに回復させないと、命に関わることがあるとされます[5]。
ほとんどの場合、猫がほぼ食べなくなるのと一緒か、そのあとに起こるとされます[5]。太った猫で多いとされています[5]。猫は、短いあいだ食べないだけでも、肝臓の病気になることがあるとされます[2]。
1994年の実験では、太った猫15匹に長いあいだ食べさせませんでした[15]。5〜7週間で、12匹に肝リピドーシスの症状が出ました[15]。原因は太っていることではなく、食べないことでした[15]。ふつうのダイエットとは条件が大きく違う実験です。
ダイエットも急ぎません。急な食事制限で病気になることがあり、減量の前に健康チェックが必要なこともあるとされます[6]。コーネル大学の獣医師は、週に体重の1〜2%くらいの、ゆっくりした減量を目安に挙げています[8]。
今日からできること
- 今日、体重を量ってメモする。抱っこして量るなら、自分の体重を引く[1]。
- 曜日を決めて、週1回量る[1]。
- できれば、ベビースケールか猫用の体重計を用意する[2][7]。
- 上からと横から、猫の写真を撮っておく[9]。
- 肋骨、腰のくびれ、背中の筋肉を触って、メモに書きそえる[14][13]。
- 理由のわからない増減や、よく食べるのにやせるときは、早めに獣医師に相談する[4][12]。
- ダイエットは自己判断で始めず、獣医師と計画を立てる[6]。
- 健診のときに、体重の記録を獣医師に見せる。
このページは一般的な情報です。病気の診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときや、持病のある猫のごはんは、獣医師に相談してください。
出典
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(4.体調管理について)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Inappetence in cats」(2025) icatcare.org/articles/inappetence-in-cats
- Freeman LM ほか(タフツ大学), J Vet Intern Med 30(5):1661-1666「Evaluation of Weight Loss Over Time in Cats with Chronic Kidney Disease」(2016) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27527534/
- AAHA(米国動物病院協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(3):153-174「2021 AAHA Nutrition and Weight Management Guidelines for Dogs and Cats」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/2021-nutrition-and-w
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Hepatic Lipidosis」 www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Obesity in Cats」(2025) icatcare.org/articles/obesity-in-cats
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Feeding your cat or kitten」(2025) icatcare.org/articles/feeding-your-cat-or-kitten
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Obesity」 www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- AAHA(米国動物病院協会)/ AAFP(米国猫臨床医協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(2):51-72「2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/feline-life-stage-20
- iCatCare Veterinary Society、J Feline Med Surg「2026 iCatCare consensus guidelines on the diagnosis and management of chronic kidney disease in cats」(2026) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13554608/
- AAFP(米国猫臨床医協会)、J Feline Med Surg 23(7):613-638「2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines」(2021) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10812122/
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Hyperthyroidism in Cats」(2026) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- WSAVA(世界小動物獣医師会)Global Nutrition Committee(図:タフツ大学)「Muscle Condition Score(Cats)」(2014) wsava.org/wp-content/uploads/2020/01/Muscle-Condition-Score-
- WSAVA(世界小動物獣医師会)Global Nutrition Committee「Body Condition Score(Cats)」(2025) wsava.org/wp-content/uploads/2025/06/WSAVA_BCSCat_BCSCat_Nut
- Biourge VC ほか(UC Davis), Am J Vet Res 55(9):1291-302「Experimental induction of hepatic lipidosis in cats」(1994) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7802398/
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