ウェットとドライ、どちらがいい?
水分、カロリー、保存のしかた、体重や歯との関係について、わかっていることと、まだはっきりしないことを分けてまとめました。
- どちらも総合栄養食なら、栄養はとれます。水分の量などは、好みで選んでよいとされています[1]。
- ウェットの猫は飲む水が減りますが、ごはんの水分を合わせた合計は多くなります[2][3]。
- ドライが多い猫に太りぎみが多いという報告がある一方、関係が見られなかった調査もあります[4][5]。
- ドライのほうが歯石が少なかったという報告はありますが、根拠はまだ強くありません。いちばん確かなのは歯みがきとされています[6][7][8]。
違いは、主に水分とカロリーの密度
キャットフードは、水分の量でドライ、セミモイスト(半生)、ウェットなどに分けられます[1]。
ドライの水分は6〜10%、缶詰は75%以上です[9]。
水にはカロリーがないので、ウェットはいつもドライより低カロリーです[8]。1gあたり、ドライは3〜4kcal以上、ウェットは0.8〜1.5kcalほどです[8]。
ドライは、少ない量でしっかりカロリーがとれます[10]。やせた猫や食の細い猫には、これが良い点にもなります[8]。
ウェットは、風味がよく食べやすいとされています[1]。ドライは手軽で、置いておいても傷みにくく、パズルフィーダー(遊びながら食べる器)にも使えます[8]。
総合栄養食なら、どちらでも栄養はとれます[1]。成長段階や体調に合わせて選んだうえで、水分の量などは好みで選んでよいとされています[1]。
保存のしかたは、次のように違います。
- ドライ:開けたら袋をしっかり閉じ、日の当たらない、涼しく湿気の少ない場所へ。開けてから1か月以内が目安です[11]。
- ドライを冷蔵庫に出し入れすると、結露でカビの原因になります[11]。密閉できる容器に入れるのもよいとされています[9]。
- ウェット:開けたらすぐ与えます。残りは別の容器に移して冷蔵し、その日のうちに使いきります[11]。
- ウェットは器に出すと傷みやすいので、出しっぱなしにしません。20分ほどで片付けるのが目安です[11][12]。
ウェットにすると、水分の合計はふえます
ウェットフードは、最大80%が水分です[2]。ウェットの猫は飲む水が減り、ドライの猫は飲み水から多くとります[2][8]。
ドライ・半々・ウェットを比べた試験では、合計の水分はウェットがいちばん多くなりました[3]。家庭の猫でも研究所の猫でも同じでした[3]。
6匹の試験では、ドライに水をたっぷり足すと、合計の水分がふえて尿が薄くなりました[13]。ただし、尿の数値を見た試験で、病気が減るかどうかは調べていません[13]。
特発性膀胱炎(原因のはっきりしない膀胱の炎症)の猫では、尿を薄くするため、ウェットに替えることが勧められています[14]。替える前に、必ず獣医師に相談します[14]。
腎臓病の猫向けの指針でも、ウェットを与えることが挙げられています[15]。
ドライを与えるときは、新鮮な水をそばに置き、飲み場を何か所かにするよう勧められています[12]。
体重との関係は、研究によって結果が分かれます
英国で約1歳の猫966匹を追った調査では、ドライが食事の半分を超える猫に、太りぎみが多い傾向でした[4]。外に出られない、または出られる機会が限られることも関係していました[4]。
スウェーデンの調査でも、主にドライを食べる猫に太りぎみが多い傾向でした[16]。食いしん坊なことや、運動不足も関係していました[16]。
一方、ニュージーランドの調査では、食事の内容は関係していませんでした[5]。関係していたのは、飼い主が猫の体型を軽く見ていることなどでした[5]。
これらは観察研究で、関係が見られたという段階です。ドライが太る原因だと決まったわけではありません[4]。
小さな試験では、同じフードでも水分が多いほうが、猫が自分で食べるカロリーが減り、体重も減りました[17]。16匹・3週間の試験です[17]。
69匹に必要な量の2倍を出した試験では、ドライの猫は体重と体脂肪がふえました[18]。水を足したごはんの猫は、ふえませんでした[18]。フード会社の研究所の試験です[18]。
ただし、子猫のころにウェットを1日250g以上食べていた猫も、2歳で太りぎみが多かったという報告があります[19]。ウェットなら安心、とは言えません。
ドライと歯の関係は、まだはっきりしません
歯肉炎(歯ぐきの炎症)は、若い猫にもよく見られます[6]。英国の調査では、1歳未満で約4分の1、5〜6歳で半分以上でした[6]。
同じ調査では、ウェットだけ、またはウェットとドライを両方食べる猫は、ドライだけの猫より歯肉炎が多い傾向でした[6]。
20匹の試験でも、ドライの猫のほうが歯石が少なく、歯肉炎の点数も低めでした[7]。ほかの多くの項目には、差がありませんでした[7]。
ただし、どれも観察研究か小さな試験で、根拠はまだ強くありません。
獲物を食べて暮らす野良猫でも、歯周病(歯を支える組織の病気)は飼い猫と同じくらい見られたという報告があります[21]。
iCatCareは、すべてのドライの粒が歯垢に効く形とは限らず、効いても全部の歯の面に届くとは限らないとしています[8]。
歯垢や歯石がたまるのを遅らせるよう、特別に作られたフードもあります[22]。基準を満たしたと言えるのは、VOHC(獣医口腔衛生協議会)が認めたものだけとされています[22]。
歯のためにいちばん確かな方法は、歯みがきとされています[8]。
歯みがきは、毎日しないと効果が出にくいとされます[23]。取れるのは歯垢だけで、ついてしまった歯石は取れません[23]。毎日みがいていても、動物病院での検査や処置が要らなくなるわけではありません[23]。
組み合わせるとき、切り替えるときの注意
iCatCareは、健康な猫には、ウェットとドライの両方を与えることを勧めています[10]。1種類だけに慣れすぎないためです[10]。
ウェットかドライかの好みは、子猫のころにできることがあります[8]。そうなると、別の食感に慣れさせるのは難しいこともあります[8]。
子猫のころに両方を与えると、大きくなってからいろいろな食感を受け入れやすくなるとされています[10]。
コーネル大学も、2〜3種類のフードを与えると、ひとつのフードしか食べなくなるのを避けられることがあるとしています[9]。
両方を与えるときは、それぞれの量を減らし、1日の合計が多くなりすぎないようにします。パッケージの量を目安に、理想の体重を保てるよう調整します[10]。
新しいフードに急に替えると、吐いたり下痢をしたりすることがあります[1]。1〜2週間かけて、新しいフードの割合を少しずつふやします[1]。
猫によっては、慣れるのに2〜8週間かかることもあります[24]。最初は別々の器で、元のフード75%・新しいフード25%から始める方法が紹介されています[24]。
ドライに水を足す方法もありますが、栄養が薄まり、嫌がる猫もいます[8]。猫が受け入れる場合に、獣医師に相談して行います[8]。
ドライを置いておく場合は、器を清潔にし、定期的に入れ替えます[12]。いつでも食べられると、食べすぎることもあります[10]。
今日からできること
- 主食のフードが「総合栄養食」か確かめる。そうなら、ウェットでもドライでもかまわない[1]。
- ドライ中心なら、新鮮な水を何か所かに置く[12]。
- ドライは量って出す。体重は週1回ほど量る[10][20]。
- ウェットを足すときは、そのぶんほかのフードを減らし、体重を見ながら量を決める[10]。
- ウェットは出しっぱなしにせず、20分ほどで片付ける。残りは冷蔵して、その日のうちに[11]。
- フードを替えるときは、別々の器で少しずつ、1〜2週間以上かけて[1][24]。
- 歯のことは、フードの種類より、歯みがきと動物病院での検査で考える[8][23]。
このページは一般的な情報です。病気の診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときや、持病のある猫のごはんは、獣医師に相談してください。
出典
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(2.市販のペットフードについて)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- Cornell Feline Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine「Hydration」(2021) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- Journal of Animal Science「Water intake and consumption behavior of colony and privately-owned healthy domestic cats fed 100% dry, 50% dry and 50% wet, and 100% wet diets (van Diggelen RA et al.)」(2026) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42390131/
- Rowe E ほか(ブリストル大学), Prev Vet Med 121(3-4):273-81「Risk factors identified for owner-reported feline obesity at around one year of age: Dry diet and indoor lifestyle」(2015) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26265631/
- Preventive Veterinary Medicine「A cross-sectional study to compare changes in the prevalence and risk factors for feline obesity between 1993 and 2007 in New Zealand (Cave NJ et al.)」(2012) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22703979/
- Journal of Small Animal Practice「Prevalence and risk factors for gingivitis in a cohort of UK companion cats aged up to 6 years (Williams JL et al.)」(2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38736278/
- Frontiers in Veterinary Science「Oral health indices and microbiota populations of adult cats consuming wet or dry diets (Oba PM et al.)」(2025) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41378258/
- International Cat Care(iCatCare)「Should I feed my cat wet or dry food?」(2025) icatcare.org/articles/should-i-feed-my-cat-wet-or-dry-food
- Cornell Feline Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine「Feeding Your Cat」(2026) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- International Cat Care(iCatCare)「Feeding your cat or kitten」(2025) icatcare.org/articles/feeding-your-cat-or-kitten
- 環境省「知って納得!ペットフードの表示」(2011) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2305b/full.p
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(1.最初に知っておきたいこと)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- British Journal of Nutrition「Effect of dietary water intake on urinary output, specific gravity and relative supersaturation for calcium oxalate and struvite in the cat (Buckley CM et al.)」(2011) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22005408/
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Feline idiopathic cystitis (FIC) in cats」(2025) icatcare.org/articles/feline-idiopathic-cystitis-fic-in-cats
- iCatCare Veterinary Society / Journal of Feline Medicine and Surgery「2026 iCatCare consensus guidelines on the diagnosis and management of chronic kidney disease in cats」(2026) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13554608/
- Acta Veterinaria Scandinavica「Overweight in adult cats: a cross-sectional study (Öhlund M et al.)」(2018) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29351768/
- American Journal of Veterinary Research「Effect of water content in a canned food on voluntary food intake and body weight in cats (Wei A et al.)」(2011) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21728852/
- Journal of Nutritional Science「The effect of reducing dietary energy density via the addition of water to a dry diet, on body weight, energy intake and physical activity in adult neutered cats (Alexander JE et al.)」(2014) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26101590/
- Preventive Veterinary Medicine「Early-life risk factors identified for owner-reported feline overweight and obesity at around two years of age (Rowe EC et al.)」(2017) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28622790/
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(4.体調管理について)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- Australian Veterinary Journal「Relationship between diet, dental calculus and periodontal disease in domestic and feral cats in Australia (Clarke DE, Cameron A)」(1998) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9830570/
- AAHA(米国動物病院協会)「2019 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats: Nutrition」(2019) www.aaha.org/resources/2019-aaha-dental-care-guidelines-for-
- AAHA(米国動物病院協会)「2019 AAHA Dental Care Guidelines for Dogs and Cats: Recommending Products」(2019) www.aaha.org/resources/2019-aaha-dental-care-guidelines-for-
- International Cat Care(iCatCare)「How to change your cat's food to a new diet」(2025) icatcare.org/articles/how-to-change-your-cats-food-to-a-new-
確認日:2026-10-17。このページは獣医師の監修を受けていません。上の資料をもとに、運営者がまとめています。