水をしっかり飲んでもらう工夫
ウェットフード、器の形、置き場所など、猫が水分をとりやすくなる工夫を、根拠の強さとあわせて紹介します。
- ウェットフードの猫は飲む水が減りますが、ごはんの水分を合わせた合計は多くなります[1][2]。
- 広く浅い器、陶器やガラス、食器から離れた場所など、猫が飲みやすい工夫が勧められています[3]。
- 給水器は、試験では平均すると飲む量がほとんど変わりませんでした[4][5]。好む猫もいます[5]。
- シニアの猫では、水分の状態がとくに大切とされています[6]。
水分は、飲み水とごはんの両方からとっています
猫は、飲み水だけでなく、ごはんからも水分をとっています[2]。ウェットフードは最大80%が水分です[2]。
ウェットフードの猫は飲む水が少なくなることがあり、ドライフードの猫は飲み水から多くとります[2]。
それでも、合計の水分はウェットのほうが多くなります[1]。ドライ・半々・ウェットを比べた試験では、家庭の猫でも研究所の猫でも同じ結果でした[1]。
6匹の試験では、ドライフードに水をたっぷり加えると、合計の水分が増えて尿も薄くなりました[7]。水分が半分ほどまでのごはんでは、合計に差は出ませんでした[7]。
32本の論文をまとめた研究でも、ドライの猫は水分の合計が少なく、尿が濃い傾向でした[8]。研究ごとのばらつきは大きいとされています[8]。
腎臓病の猫向けの指針では、ウェットフードを与えることが挙げられています[9]。栄養が足りなくならない範囲で、ごはんに水を加える方法もあります[9]。
器は、広く浅く、ひげが当たらないものを
多くの猫は、頭を器の中に入れずに飲める、広く浅い器を好みます[3]。ひげが器のふちに触れるのも、ふつうは嫌がります[3]。
一般に、プラスチックよりガラスや陶器の器が好まれます[3]。水は器のふちまで満たすとよいとされています[3]。
水の新鮮さや味、動き、器の形にも、猫それぞれの好みがあります[10]。
シニアの猫には、ふちが低く底の広い器が向いているとされています[6]。
関節の病気がある猫には、頭を下げずに飲めるよう、器を高くする工夫も勧められています[9]。
置き場所は、何か所かに、食器から離して
水入れは何か所かに置き、遠くまで行かなくても飲めるようにします[3]。
猫は、食事のすぐ横では飲みたがらないとされます[3]。食器と水入れは離して置きましょう[11]。
トイレ・食器・水入れ・寝床などは、それぞれ別の場所に置くのがよいとされています[11]。
冷たいと風味が落ちるので、水はできるだけ室温で出します[3]。
猫は急な変化を嫌うので、器や置き場所を替えるときは少しずつにします[3]。
給水器は、合う猫と合わない猫がいる
給水器(水が流れる水飲み器)にしても、たくさん飲むようになるとは限りません[4][5]。
家庭の健康な猫13匹の研究では、給水器でわずかに多く飲んだものの、尿の濃さは変わりませんでした[4]。1匹は給水器の水を飲まなくなりました[4]。
研究所の猫で3種類の水入れを比べた試験でも、飲む量に差はありませんでした[5]。ただし、はっきり好みのある猫が3匹いました[5]。
32本の論文をまとめた研究でも、水が止まっているか流れているかで、飲む量は変わりませんでした[8]。
コーネル大学も、給水器で多く飲む猫もいるが、好みには個体差があるとしています[2]。
腎臓病の猫向けの指針は、給水器を、いくつか用意する水飲み場のひとつとして挙げています[9]。
シニアの猫では、水分がとくに大切
シニアの猫では、水分の状態がとても大切とされています[6]。腎臓病や糖尿病など、高齢の猫に多い病気では、体の水分が少しずつ失われるためです[6]。
一方で、水を飲む量やおしっこの量がふえるのは、腎臓病でよく見られるサインでもあります[9]。
水を飲む量が前より明らかにふえたときは、病気のサインのことがあります[9]。たくさん飲むから安心、とは考えず、早めに受診してください。
今日からできること
- 水入れを、食器から離れた場所にもう1か所ふやす[3]。
- 広く浅い陶器やガラスの器に替え、ふちまで水を満たす[3]。
- 新しい水を、できるだけ室温で出す[3][10]。
- ドライフードだけなら、ウェットフードを取り入れることも考える。替えるときは少しずつ、体重を見ながら[1][9]。
- シニアの猫にはふちの低い器を、関節が痛そうな猫には高さのある台を使う[6][9]。
- 飲む量がいつもより明らかにふえたら、早めに受診する[9]。
このテーマのフード一覧
このページは一般的な情報です。病気の診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときや、持病のある猫のごはんは、獣医師に相談してください。
出典
- Journal of Animal Science「Water intake and consumption behavior of colony and privately-owned healthy domestic cats fed 100% dry, 50% dry and 50% wet, and 100% wet diets (van Diggelen RA et al.)」(2026) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42390131/
- Cornell Feline Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine「Hydration」(2021) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- International Cat Care (iCatCare)「How to encourage your cat to drink」(2025) icatcare.org/articles/how-to-encourage-your-cat-to-drink
- Journal of Feline Medicine and Surgery「Effect of water source on intake and urine concentration in healthy cats (Grant DC)」(2010) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20005758/
- Journal of Feline Medicine and Surgery「Quantified water intake in laboratory cats from still, free-falling and circulating water bowls, and its effects on selected urinary parameters (Robbins MT et al.)」(2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30303439/
- American Association of Feline Practitioners (AAFP) / Journal of Feline Medicine and Surgery「2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines」(2021) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10812122/
- British Journal of Nutrition「Effect of dietary water intake on urinary output, specific gravity and relative supersaturation for calcium oxalate and struvite in the cat (Buckley CM et al.)」(2011) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22005408/
- Journal of Animal Science「Diet format, protein, amino acids, salt, and osmolytes, as well as water viscosity, affect water consumption in domestic cats: a scoping review of 32 publications (Kosmal PAL et al.)」(2026) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41389339/
- iCatCare Veterinary Society / Journal of Feline Medicine and Surgery「2026 iCatCare consensus guidelines on the diagnosis and management of chronic kidney disease in cats」(2026) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13554608/
- AAHA / AAFP (Journal of the American Animal Hospital Association, Journal of Feline Medicine and Surgery 同時掲載)「2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/feline-life-stage-20
- AAFP / ISFM (Journal of Feline Medicine and Surgery)「AAFP and ISFM feline environmental needs guidelines」(2013) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11383066/
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