高齢の猫が食べないとき(理由・受診の目安・家での工夫)
猫は、短い間でも食べないと体に大きく響きます。「年のせい」と様子を見ず、食べる量が減ったら早めに動物病院へ相談しましょう。
- 猫は、短い間食べないだけでも肝臓の病気になることがあるとされます[1]。食べる量が減ったら、できるだけ早く動物病院へ[1]。
- 理由には、病気、歯や口の痛み、吐き気、においの衰え、ストレスなどが挙げられています[1][2][3]。
- 温める、浅く広い器にする、静かな場所で出すなどの工夫は、獣医師に診てもらったうえで試します[3]。
- 無理に口に入れると、かえって食べなくなることがあります[3]。食欲を出す薬は、原因を調べる代わりにはならないとされます[4]。
食べないことが危ない理由と、受診の目安
猫は、短い間食べないだけでも肝臓の病気になることがあるとされます[1]。いつもより食べない日が1日でもあれば、体に悪いことがあるとされています[1]。
食べないことと深く関わる肝臓の病気に、肝リピドーシス(肝臓に脂肪がたまる病気)があります[5]。すぐに手当てしないと、命にかかわることがあるとされます[5]。
この病気は、ほとんどの場合、食べなくなるのと同時か、その後に起こるとされます[5]。太った猫に多いとされますが、ふつうの体型の猫にも起こります[5]。
コーネル大学は、大人の猫でも、24時間食べないだけで体に大きく響くことがあるとしています[6]。環境省も、猫は3日以上食欲がないと健康に影響が出る危険があるとしています[7]。
猫が食べないのは、ただ「食べないと決めた」からではない、ともコーネル大学は説明しています[6]。「お腹がすけば食べる」と待たず、早めに相談しましょう[1]。
いつもより食べない、またはまったく食べないときは、できるだけ早く動物病院へ連絡します[1]。食欲が落ちて3日以上たつなら、急いで連絡しましょう[1]。次のようなときも、早めに受診を。
- においをかいでも立ち去る、ぽろぽろこぼす、片側でかむ[3]
- 食べないうえに、体重が減っている[8]
- よだれ、口をなめる、ごはんから顔をそむける(吐いていなくても、吐き気のサインのことがあります)[4]
- 頭をふる、前足で口をさわる、よだれが多い(口の痛みのサインのことがあります)[2]
- 水を飲む量やおしっこの量が増えた(腎臓病などのサインのことがあります)[2]
- 週に1回より多く吐く、吐くうえに下痢もしている[9]
高齢の猫が食べなくなる主な理由
猫が食べなくなる理由は、たくさんあるとされます[3]。よく挙げられるのは、次のようなものです。
- 病気:歯の病気、腎臓や肝臓の病気、腸の病気、感染症、がんなどで、食欲が落ちることがあります[1]。
- 吐き気や痛み:吐き気(気持ち悪さ)や痛みのある病気は、食欲に響くとされます[1]。腎臓病のサインにも、食欲が落ちることや吐き気があります[2]。
- 歯や口の痛み:歯の病気の痛みは、猫が食べない理由として多いとされます[6]。歯周病(歯ぐきの病気)は、年とともに増えるとされています[2]。
- 関節などの痛み:家で気づける痛みのサインとして、食欲や食べる量が減ることが挙げられています[2]。
- においの衰え:年をとると、においなどの感覚が衰えるとされています[2]。猫にとって、ごはんのにおいはとくに大切です[11]。
- ストレスや暮らしの変化:新しいペットが来た、近所に猫が来た、などで食べなくなることがあります[3]。仲間の猫を亡くしたあとに、食欲が落ちた猫もいるとされます[6]。
- そのほか:フードの急な変更、脱水、便秘も理由になります[3]。
病院ですることと、食欲を出す薬
病院では、体重や体温、内臓のようすなどを診ます[6]。歯と歯ぐきもよく診ます[6]。歯の病気の痛みが、食べない原因になっていることが多いためです[6]。
原因を探しながら、まず食べられるようにする手当てをすぐ始めるとされています[6]。原因の病気や痛み、吐き気、ストレスを早くおさえることが大切とされます[4]。
吐き気止めや痛み止め、食欲を出す薬で、食欲が戻ることがあります[4]。海外では猫用に承認された食欲を出す薬があり、耳の内側に塗るタイプもあります[4]。
ただし、食欲を出す薬は、原因を調べる代わりにはならないとされています[4]。脱水や貧血、吐き気、痛み、熱などがあれば、その手当ても必要です[4]。
腎臓や肝臓の病気がある猫では、薬の量や間隔を慎重に決めるとされています[4]。使うかどうか、どの薬にするかは、獣医師が体の状態を見て決めます。
場合によっては、チューブで栄養を入れることもあります[1]。ストレスを少なく、栄養や薬を入れられる方法とされています[1]。
人の薬を、自己判断で飲ませないでください。人の薬は、それ自体が吐く原因になることがあります[9]。
家でできる工夫(獣医師に診てもらったうえで)
次の工夫は、獣医師が病気を調べたあとや、手術やストレスからの回復中に試すものとして紹介されています[3]。うまくいかないときは、もう一度獣医師に相談します[3]。
- 少し温める:温めると、においが立ちます[3]。猫は体温くらい(約35℃)のごはんを好むとされます[11]。
- 吐き気があるときは温めない:強いにおいで、かえって気分が悪くなることがあります[3]。いつものごはんを少しだけ、常温か少し冷やして出します[3]。
- においの強いもの:魚や鶏肉など、においの強いものが食べ始めるきっかけになることがあります[3]。獣医師の了承を得てからにします[3]。それだけでは栄養が足りないので、長くは続けません[3]。高齢の猫には、においの強いフードが勧められています[2]。
- 人の食べ物は避ける:ベビーフードやグレービー(肉汁のソース)は与えません[3]。猫に毒になるタマネギが入っていることがあります[3]。
- 器:浅く広い陶器の器が好まれるとされます[3]。ひげが当たらない器が、高齢の猫に向くとされています[2]。関節や筋肉が衰えた猫には、器を高くすると届きやすくなるとされます[2]。
- 置き場所:静かな場所で、ほかの猫から離して出します[3]。トイレや水の器からも離します[3]。物忘れ(認知機能の低下)がある猫では、ごはんや水、トイレの場所を動かさないよう勧められています[2]。
- 少しずつ何回も:10歳を超えた猫には、少量ずつ回数を分けて与えるよう勧められています[2]。一方、コーネル大学は、獣医師の指示がなければ成猫と同じ回数でよいとしています[12]。
- 一度にたくさんの種類を出さない:猫が圧倒されてしまうことがあります[3]。
- なでたり、手から与えたりすると食べる猫もいます[3]。そっとしておくと、家が静かな夜に食べる猫もいます[3]。
- 水も大切:多くの猫は、1日に必要な水分の多くをごはんからとっています[3]。食べないときは、水を飲む工夫もしましょう[3]。水の器を何か所かに置く方法もあります[1]。
- 歯が痛そうなとき:ウェットフードや小さい粒のドライ、水でふやかしたドライが食べやすいことがあります[12]。
無理に食べさせないでください。注射器で流しこんだり、口に押しこんだりすると、強いストレスになり、重い合併症のおそれもあります[3]。食べること自体を嫌がるようになることもあります[3]。療法食に替えるのも、体調が戻ってからにするよう勧められています[3]。
体重を記録する
年をとると、太りすぎより、体重の減りのほうがよく見られるようになるとされます[2]。
家で体重や体型を見てもらうと、悪い変化に早く気づけるとされています[2]。小柄な猫は、減った量が少なくても、割合で見ると大きな変化のことがあります[2]。
食欲が落ちた猫は、獣医師の勧めに合わせて体重を量ります[1]。週1回くらいになることが多いとされます[1]。環境省も、ふだんから週1回くらい量るのをすすめています[7]。
人が抱いて体重計に乗り、自分の体重を引く方法は、小さな変化を見のがしやすいとされます[1]。赤ちゃん用の体重計のほうが正確です[1]。
量った体重は、かかりつけの獣医師に伝えましょう[1]。
- 体重と、量った日[1]
- 何を、どれだけ、何回食べたか(病院では、食べている量や回数、与え方を確かめます)[13]
- 食べ方の変化(こぼす、片側でかむ、においをかいで立ち去る)[3]
- 水を飲む量、おしっこ、便、吐いた回数[9]
説明のつかない体重の変化は、病気として調べるべきとされています[2]。減ってきたら、早めに相談しましょう。
今日からできること
- ごはんは、はかりで量って出す[7]。食べ残しも量り、食べた量をメモする。
- 週1回くらい体重を量る[7][1]。赤ちゃん用の体重計があると、小さな変化に気づきやすくなります[1]。
- 食べる量が減ったら、できるだけ早く動物病院に連絡する[1]。
- ごはんの器を、浅く広い陶器のものにしてみる[3]。
- ごはんの場所を、静かでトイレから離れた所にする[3]。一度決めたら、場所をころころ変えない[2]。
- 10歳を超えたら、元気でも少なくとも6か月に1回は健診を受ける[13]。そのたびに歯も診てもらう[2]。
- 人の薬やベビーフードを、自己判断で与えない[9][3]。
このページは一般的な情報です。病気の診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときや、持病のある猫のごはんは、獣医師に相談してください。
出典
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Inappetence in cats」(2025) icatcare.org/articles/inappetence-in-cats
- AAFP(米国猫臨床医協会)(Ray M ほか), J Feline Med Surg 23(7):613-638「2021 AAFP Feline Senior Care Guidelines」(2021) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10812122/
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「How to encourage your cat to eat」(2025) icatcare.org/articles/how-to-encourage-your-cat-to-eat
- ISFM(国際猫医学会)コンセンサスガイドライン(Taylor S ほか), J Feline Med Surg 24(7):614-640「2022 ISFM Consensus Guidelines on Management of the Inappetent Hospitalised Cat」(2022) pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11107985/
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Hepatic Lipidosis」 www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Anorexia」 www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(4.体調管理について)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Feeding Your Cat」(2026) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Vomiting」(2021) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「The Danger of Hairballs」 www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Feeding your cat or kitten」(2025) icatcare.org/articles/feeding-your-cat-or-kitten
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「How Often Should You Feed Your Cat?」(2024) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- AAHA(米国動物病院協会)/ AAFP(米国猫臨床医協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(2):51-72「2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/feline-life-stage-20
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