おしっこのトラブル(とくにオス)
トイレに何度も行くのにおしっこが出ないときは、様子を見ずにすぐ動物病院へ行きましょう。
- 何度もトイレに行くのに出ない・少ししか出ないときは、すぐ動物病院へ[1]。命にかかわることがあります[2]。
- オスは尿道(おしっこの通り道)が長く細いため、つまりやすいとされています[2]。
- 原因でいちばん多いのは、ストレスが関係するとみられる「原因がはっきりしない膀胱炎」です[2]。
- 尿路の健康をうたうフードで、症状そのものが減るという証拠はない、とされています[2]。
すぐ病院へ行くべきサイン(とくにオス)
尿道がつまると、おしっこがほとんど出なくなり、猫はどんどん苦しそうになります[2]。
尿道のつまりは、すぐに処置が必要な緊急事態です[2]。完全につまってから、24〜48時間たたずに命を落とすこともあるとされています[2]。
オスは、去勢したオスも含めて、メスより尿道が長く細いため、つまりやすいとされています[2]。
気をつけたいおしっこのサイン
次のようなようすは、膀胱や尿道のトラブルのよくあるサインとされています[2]。
トイレ以外でのおしっこも、しつけの問題と決めつけず、早めに受診しましょう。尿のつまりのような命にかかわる状態を見逃さないためです[3]。
関係すると言われること
原因でいちばん多いのは、特発性膀胱炎(原因がはっきりしない膀胱炎)です[2]。ストレスが大きな要因とみられています[2]。
中年、太りぎみ、運動が少ない、水をあまり飲まない猫に多いとされます[2]。多頭飼いや引っ越しなどのストレスも、リスクを上げうるとされています[2]。
オーストラリアの研究では、太りぎみの去勢オスほど、尿道のつまりが多くなっていました[4]。年齢では、2〜4歳に多く見られました[4]。
イスラエルの研究では、尿道がつまった猫の22%が、6か月以内にまたつまっていました[5]。
特発性膀胱炎は、なりやすい猫がストレスのある環境で暮らすと起こる、と考えられています[1][6]。完全室内飼いや多頭飼いは、目立つサインがなくてもストレスが生じやすい例とされます[1]。
なお日本では、感染症や交通事故の危険から、環境省が室内飼いを勧めています[7]。大切なのは、室内でも刺激があって安全な環境を用意することだとされています[3]。
室内の猫を調べた研究では、症状は住まいの環境より、怖がりなど猫自身の性質と強く関係していました[8]。
ドライフード中心の食事と関係していたという研究もあります[5][9]。ただ、関係を示しただけで、原因とまでは言えません[5][9]。
水分のとり方
缶詰など水分の多い食事は、とる水分の合計を増やす可能性があるとされています[3]。
健康な猫6頭の小さな試験では、水分の多い食事で尿が薄くなりました[10]。フードメーカーの研究所の試験で、病気が減るかは調べていません[10]。
特発性膀胱炎の猫には、ウェットフードに替えることと、水を多く飲ませる工夫が大切とされます[1]。これは膀胱炎の猫への助言で、替える前には必ず獣医師に相談します[1]。
健康な猫で尿のトラブルが減ると示した比較試験は、このサイトでは見つけられていません。
水飲み器(ファウンテン)は、健康な猫13頭の研究で、飲む量がわずかに増えただけでした[11]。尿の濃さは変わりませんでした[11]。好みは猫によって違います[12]。
飲み水は、猫が落ち着ける場所にいくつか置きます[1][13]。うるさい所やトイレの近くは避けるとよいとされます[1]。
尿路のフードと表示について
尿路の健康をうたうフードは、膀胱炎の猫で尿道がつまる可能性を下げるかもしれない、とされています[2]。
ただ、おしっこのトラブルそのものが減るという証拠はない、とコーネル大学(米国)は説明しています[2]。
日本の表示ルールでは、「尿石」に「配慮(ケア)」などの言葉が使えます[14]。成分やpH(酸性・アルカリ性の度合い)の調整について、説明がある場合に限られます[14]。
一方で、「溶解」のような、病気をよくする意味の言葉は使えません[14]。病名を書けるのは療法食だけで、療法食は獣医師の指導のもとで与えるものです[15]。
表示が許されていることと、効果が確かめられていることは別です。
尿の結石のうち、割合が増えているシュウ酸カルシウム結石は、食事では溶かせません[2]。尿を酸性にするフードに、酸性にするサプリを足すと、体に負担がかかるおそれもあります[2]。結石があるときのフードは、獣医師と決めましょう。
今日からできること
コーネル大学は、症状の回数や重さを減らす助けとして、次のような工夫を挙げています[2]。
膀胱炎をくり返す室内の猫に、家ごとの環境の工夫を提案した研究では、症状が減りました[16]。比べる群のない研究です[16]。
- 新鮮な水をいつでも用意する。水飲み場は、家の何か所かに置く[2][13]。
- トイレは「猫の数+1個」を目安に、静かで安全な場所に置き、きれいに保つ[2]。
- 食事は少量ずつ、回数を分けて与える。体重も管理する[2]。
- 安心して隠れられる場所と、毎日遊ぶ時間をつくる[17]。
- 引っ越しなど、大きな生活の変化はできるだけ避ける[2]。
- トイレ掃除のときに、おしっこの量や回数がいつもと違わないか見る。
- 夜間や休日に診てもらえる動物病院を、今のうちに調べておく。
このテーマのフード一覧
このページは一般的な情報です。病気の診断や治療の代わりにはなりません。気になる症状があるときや、持病のある猫のごはんは、獣医師に相談してください。
出典
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Feline idiopathic cystitis (FIC) in cats」(2025) icatcare.org/articles/feline-idiopathic-cystitis-fic-in-cats
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Feline Lower Urinary Tract Disease」(2016) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- AAHA(米国動物病院協会)/ AAFP(米国猫臨床医協会)、J Am Anim Hosp Assoc 57(2):51-72「2021 AAHA/AAFP Feline Life Stage Guidelines」(2021) www.aaha.org/globalassets/02-guidelines/feline-life-stage-20
- Jukes A ほか, Vet J 244:7-12「Associations between increased body condition score, bodyweight, age and breed with urethral obstruction in male castrated cats」(2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30825898/
- Segev G ほか(ヘブライ大学), J Feline Med Surg 13(2):101-8「Urethral obstruction in cats: predisposing factors, clinical, clinicopathological characteristics and prognosis」(2011) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21145768/
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- 環境省「宣誓!無責任飼い主0(ゼロ)宣言!!(p.4 猫の飼い主のみなさんへ)」(2014) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2609/pdf/04.
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- Cornell Feline Health Center, Cornell University College of Veterinary Medicine「Hydration」(2021) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- 環境省 自然環境局 動物愛護管理室「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~(1.最初に知っておきたいこと)」(2018) www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide
- ペットフード公正取引協議会「ペットフード等の薬事に関する適切な表記の事例集」(2024) pffta.org/pdf/jirei3.pdf
- ペットフード公正取引協議会「表示の基礎知識 03.ペットフードの目的について」 pffta.org/basic/03.html
- Buffington CA ほか(オハイオ州立大学), J Feline Med Surg 8(4):261-8「Clinical evaluation of multimodal environmental modification (MEMO) in the management of cats with idiopathic cystitis」(2006) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16616567/
- AAFP / ISFM(米国猫臨床医協会 / 国際猫医学会)「2013 AAFP/ISFM Feline Environmental Needs Guidelines」(2013) catvets.com/wp-content/uploads/2024/01/EnvironmentalNeedsGLS
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