冬の食事と水分(寒い季節の工夫)
寒い季節は、猫が家の中で過ごす時間が増え、食べる量や動く量も変わりやすくなります。いつでも新鮮な水を飲めるようにし、体重を見ながら食事の量を見直しましょう。
- 冬も、新鮮な水をいつでも飲めるようにすることが欠かせないとされます。水は、できるだけ室温で出します。
- 日本の保険の請求では、猫の膀胱炎などは12月に最も多くなっていました。海外では春に多い地域や、季節で差のない研究もあり、結果はそろっていません。
- 冬は、食べる量が増えて動く量が減る猫もいるとされます。必要なエネルギーは季節で変わるので、体重を量って量を見直します。
- 不凍液は、ほんの少し口にしただけでも、命に関わることがあります。
寒い季節の水の出し方
冬でも、外に出る猫にも家の中の猫にも、新鮮できれいな水をいつも用意することが欠かせないとされます。
iCatCare(国際的な猫の団体)は、水はできるだけ室温で出すよう勧めています。冷たいと風味が落ちるためです。
一方で、水の温度を調べた研究はとても少なく、32本の論文を見渡した研究でも1本だけでした。8匹の試験では冷やした水を多く飲んだ猫が4匹いましたが、方法に問題があるとされています。猫の好みがわかったら、少しずつ合わせていきましょう。
ウェットフードは、最大80%が水分です。ウェットフードを与えたり、食事に水を足したりするのも、水分を増やす方法とされます。水を足すときは、冷たい水ではなく室温の水にします。フードを替える前には、獣医師に確認しましょう。
冷蔵庫から出したウェットフードは、少し温めると香りが強まります。猫は、体温くらい(約35℃)のごはんを好むとされます。
外に水の器を置いているときは、凍っていないか、きれいかをこまめに確かめます。
元気がない、弱っている、食欲がない、歯ぐきが乾いているときは、脱水のサインのことがあります。重いと、目が落ちくぼむこともあります。心配なときは、早めに動物病院に連絡しましょう。
寒い時期と尿のトラブル(研究の結果はそろっていない)
日本のペット保険会社が、猫の膀胱炎などの請求を月ごとに数えた資料があります。尿石症・膀胱結石・下部尿路疾患(膀胱や尿道の病気)も合わせた数です。
2004〜2008年の集計で、6〜8月は900件前後、12月が最も多く1,300件を超えていました。保険の請求の数は、病院にかかった猫の多さの目安です。冬が原因だと証明したものではありません。
海外の研究では、結果が分かれています。米国北部の8つの動物病院で、尿道がつまったオス猫2,443匹を調べた研究では、4〜5月に多くなっていました。春の山は北東部だけで、北西部の海沿いでは見られませんでした。気候の違いが関わるかもしれない、と著者は書いています。
ドイツの大学病院の302匹の研究では、尿のトラブルの猫は季節を問わず同じくらい来院していました。
尿のトラブルは、中年・太りぎみ・運動が少ない・水をあまり飲まない猫に多いとされます。多頭飼いや引っ越しなどのストレスも、なりやすさを上げうるとされます。
特発性膀胱炎(原因のはっきりしない膀胱炎)の猫には、ウェットフードへの切り替えと、水を多く飲む工夫が大切とされます。これは膀胱炎の猫への助言で、替える前には獣医師に相談します。
寒くて外に出られない猫や、高齢・体調の悪い猫には、家の中の静かな場所にトイレを用意します。汚れた砂は、できるだけ早く取り替えます。
トイレに何度も行くのにおしっこが出ない、数滴しか出ないときは、すぐ動物病院へ。尿道が完全につまると、24〜48時間たたずに亡くなることもあるとされます。とくにオスは尿道が長く細く、つまりやすいとされます。夜間や休日でも、様子を見ずに相談しましょう。
室温・寝床・器の置き場所
猫は暖かいのが好きで、暖かい場所を探して過ごします。暖房器具のそばにも近づきます。
あまり動かない猫、筋肉や体重が落ちた猫、体温を保ちにくい猫は、冬にとくに気づかいが要るとされます。暖かく、すきま風の入らない寝床を用意しましょう。関節炎の猫は、少し暖かいととくに喜ぶとされます。
水の器は何か所かに置き、遠くまで行かずに飲めるようにします。家が何階かあれば、各階に1つずつ置くとよいとされます。
水は、猫が落ち着いて過ごす場所に置くとよいとされます。うるさい場所やトイレの近くは避けます。
ごはんの器のすぐ横も避けます。人の出入りが多い場所や、洗濯機などの機械のそばからも離します。
関節炎などで動きにくい猫には、床から少し高くした器が楽とされます。多頭飼いでは、水の器は猫の数より1つ多く用意します。
ストーブや暖炉などのそばでは、やけどに気をつけます。猫が直接ふれないよう、守りましょう。
寒い時期の食事量と体重
冬は、体温を保つために食べる量が増える猫がいるとされます。寒い日や雨の日は家の中にいたがる猫が多く、食べる量が増えて動く量が減ることがあります。
環境省は、必要なエネルギーの量は季節や運動量でも変わるとしています。定期的に体重を量り、理想の体重を保てるよう、食事の量を見直すよう勧めています。
研究施設の猫38匹の食べる量を4年間記録した研究では、夏に最も少なく、晩秋から冬に最も多く食べていました。夏は冬より約15%少なかったものの、体重に季節の差は見られませんでした。
ただしこれは、フードメーカーの研究施設の、食べ放題の猫の結果です。38匹中30匹は、屋外にも出られる環境でした。
一方、日の長さだけを変えた11匹の試験では、日が短いと動く量が少なく、体重を保つための食事もわずかに少なめでした。
研究によって結果が違うので、季節で量を決めつけず、体重の変化を見て調整しましょう。
家の中で過ごす時間が長いときは、遊びの工夫をします。キャットタワー、爪とぎ、食事のパズル、おもちゃは、少し体を動かす助けにもなるとされます。
体重は週1回くらい量るのがおすすめとされます。猫を抱いて体重計に乗り、人の体重を引けば量れます。iCatCareも、冬は体重を見守るよう勧めています。はっきり増えた・減った、食欲が落ちたときは、季節のせいと決めつけず動物病院に相談しましょう。
冬に気をつけたいこと(口に入るもの)
車用品の不凍液(凍りにくくするための液)には、エチレングリコールやメタノールが入っていることが多く、猫には毒です。車のウォッシャー液や解氷剤にも入っていることがあります。
ほんの少しのエチレングリコールでも、腎不全を起こして死ぬことがあるとされます。
猫は、庭の池などの水を飲むことがあります。また、毛についた物を毛づくろいで飲み込みます。こぼれた液が毛や足につくのも有害とされます。
容器は閉まる戸棚などにしまい、こぼしたらすぐにていねいにふき取ります。
道に凍結防止の塩などがまかれた地域では、歩いたあとの足をぬれタオルでふくよう勧められています。毛づくろいでなめて飲み込むと、体に悪いことがあるためです。
不凍液をなめた・飲んだかもしれない、毛や足についたかもしれないときは、すぐ動物病院に連絡しましょう。早く治療を受けるほど、助かる見込みが高くなるとされます。
今日からできること
- 水の器を見直す。各階に1つ、ごはんから離れた静かな場所に置く。
- 水はできるだけ室温で出し、新鮮な水をいつも用意する。
- 冷蔵庫から出したウェットフードは、少し温めて体温くらいにする。
- 高齢の猫や関節の痛そうな猫に、暖かくすきま風の入らない寝床を用意する。
- 週1回くらい体重を量り、増えた・減ったで食事の量を見直す。
- トイレ掃除のときに、おしっこの回数や量を見る。出ていないときは、すぐ受診する。
- 不凍液や解氷剤は、閉まる戸棚にしまう。
- ストーブなどの暖房器具に、猫が直接ふれないようにする。
このページは、飼い主さん向けの一般的なお話です。気になる様子があるときや、持病のある子のごはんは、かかりつけの先生に相談してくださいね。
参考にした資料(14件)
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Hazardous weather and your cat」(2025) icatcare.org/articles/hazardous-weather-and-your-cat
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「How to encourage your cat to drink」(2025) icatcare.org/articles/how-to-encourage-your-cat-to-drink
- アニコム(ペット保険)「アニコム家庭どうぶつコラム Vol.011 猫ちゃんの泌尿器疾患が多い季節は?」(2010) www.anicom-page.com/hakusho/column/pdf/100129.pdf
- Sumner JP, Rishniw M(コーネル大学), Vet J 220:72-74「Urethral obstruction in male cats in some Northern United States shows regional seasonality」(2017) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28190500/
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- Journal of Animal Science「Diet format, protein, amino acids, salt, and osmolytes, as well as water viscosity, affect water consumption in domestic cats: a scoping review of 32 publications (Kosmal PAL et al.)」(2026) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41389339/
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- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Feeding your cat or kitten」(2025) icatcare.org/articles/feeding-your-cat-or-kitten
- Cornell Feline Health Center(コーネル大学獣医学部)「Feline Lower Urinary Tract Disease」(2016) www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/corne
- International Cat Care(iCatCare。ISFMの母体の慈善団体)「Feline idiopathic cystitis (FIC) in cats」(2025) icatcare.org/articles/feline-idiopathic-cystitis-fic-in-cats
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確認日:2026-10-17。獣医師の監修は受けていません。上の資料をもとに、運営者がまとめています。